こんにちは、Arikoです。
旅行が好きで「何か資格を取ってみようかな」「旅行に関わる仕事をしてみたいな」と思ったことがある人、結構多いのではないでしょうか?
そんな時によく出てくるのが、「旅行業務取扱管理者」という国家資格です。
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旅行好きや旅行業界を目指しているなら、気になる資格だね!



私自身、旅行が好きでこの資格を取得し、旅行会社にも勤務していた経験があります。
旅行業務取扱管理者を持っていると、就職に有利になる?
旅行が趣味だけど、旅行業務取扱管理者の資格ってプライベートでも役立つの?
こんなことが気になっている方もいるのではないでしょうか。
今回は私自身の経験も踏まえて、就職に有利なのか、旅好きな人にとって何が魅力なのかをお話したいと思います。
旅行業務取扱管理者とは?どんな資格?


「旅行業務取扱管理者」は旅行業法で定められた国家資格で、旅行会社(旅行業者)の営業所ごとに1名以上配置しなければなりません。旅行の取引条件の説明などの業務に関する管理・監督を行います。
旅行業務取扱管理者は、以下の3種類あります。
- 国内旅行業務取扱管理者:国内のみを取り扱う
- 総合旅行業務取扱管理者:国内+海外を取り扱う
- 地域限定旅行業務取扱管理者:主たる営業所所在地の隣接市町村までの範囲を取り扱う
なお、旅行業務取扱管理者は一度取得すれば有効期限がなく、生涯有効です。



旅行業界で唯一の国家資格です。
旅行業務取扱管理者になるには、国家試験(旅行業務取扱管理者試験)に合格する必要があります。この資格を目指す人のほとんどが「国内旅行業務取扱管理者試験」または「総合旅行業務取扱管理者試験」を受験します。
旅行業務取扱管理者試験 | |||
---|---|---|---|
国内旅行業務取扱管理者試験 | 総合旅行業務取扱管理者試験 | 地域限定旅行業務取扱管理者試験 | |
試験実施機関 | 一般社団法人全国旅行業協会(ANTA) | 一般社団法人日本旅行業協会(JATA) | 観光庁 |
(願書の配布) | 試験実施要領の発表6月上旬 | 7月上旬 | 7月上旬 |
受付期限 | 7月上旬 | 8月上旬 | 7月下旬 |
試験日 | 9月上旬~下旬のうち、受験者が選択した日時(CBT試験方式) | 10月下旬の日曜日又は祝日 | 9月下旬 |
試験科目 | (1)旅行業法及び関係法令 (2)旅行業約款及び関連約款 (3)国内旅行実務 | (1)旅行業法及び関係法令 (2)旅行業約款及び関連約款 (3)国内旅行実務 (4)海外旅行実務 | (1)旅行業法及び関係法令 (2)旅行業約款及び関連約款(※航空運送約款を除く) (3)国内旅行実務(※全国地理及び航空運送関係を除く) |
試験地 | 全国47都道府県 | 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県、沖縄県 | 2カ所(関東、関西で1カ所ずつ) |
受験手数料 | 8,000円 | 13,000円 | 5,500円 |
合格率は、国内旅行業務取扱管理者試験が30~40%、総合旅行業務取扱管理者試験が5~15%です。
総合の方が試験範囲が広く、難易度も高くなります。ただし、国内旅行業務取扱管理者を取得していれば、免除される科目もあります。
旅行業務取扱管理者は就職に有利?


旅行業界で働きたいと考えている方は、旅行業務取扱管理者の資格が就職で有利になるかどうか気になりますよね。
ここでは私の経験も踏まえながら、お話します。
新卒の就活ではあまり意味がない
私は大学生の頃に国内旅行業務取扱管理者を取得し、就活では旅行業界を中心に応募していました。
全てではないですが、日本の大手旅行会社と言われる会社の面接はほぼ受けました。
「大学生のうちに取得しておけば、他の就活生との差別化が図れる」と謳う資格スクールは多いですが、正直に言うと、私の場合は「資格を持っているおかげで、就職が有利になった」とは感じませんでした。
そもそも、新卒の採用では
- 資格よりも、人柄やコミュニケーション能力が重視される傾向が強い
- 足切りされるとしたら、資格の有無ではなく、SPIテストの結果や学歴による
という感じです。
資格の有無は関係なく、企業が求めている人物像にマッチしたか否かで採用/不採用が決まります。
ただ、「目標のために努力・勉強できる人なんだな」という印象くらいは持ってもらえるかもしれません。
その後、大手旅行会社の一つに入社しましたが、同期の人たちは資格を持っていない人が大半でした。
多くの旅行会社には、受験費用の一部負担や研修・教材の提供など、従業員が資格取得するための支援制度があります。そのため、無理して大学生のうちに取得せずとも、実務経験を積みながら、入社後に勉強・受験しても遅くありません。
入社して数年くらいの現場では、持っていても有利になることは少ない
実は、入社後は海外旅行の担当になったため、資格を持っていることで有利になったことはありませんでした。



もはや、資格に全然関係ない仕事内容(泣)
資格を持っているからと言って、資格手当をもらえたわけではないですし、仕事の幅が広がったわけでもありません。(資格手当については勤務年数によるものなのか、仕事内容によるものなのか、もらえなかった理由はよく分かりません。)
待遇や仕事内容については資格の有無というより、経験年数とか実績の方が大きいと思います。
ただし、資格手当がある会社に勤めている場合は、取っておいて損はないと思います。
そもそも資格を取得していなくても、現場で仕事をしていくうちに自然と知識は身に付いていきます。そのため、持っていなくても、そこまで困ることはありません。
私の場合、持っていて役に立ったなと思ったのは旅程管理研修の時くらいです。
実際の現場とは少し違いますが、旅行会社では入社後に旅程管理研修をします。旅程管理研修も旅行業法や約款、旅行実務を勉強します。
私はすでに国内旅行業務取扱管理者の資格を持っていたため、この勉強についてはあまり苦労しませんでした。



直接役立ったのは、このくらい。
でも、この時に取った旅程管理主任者の資格は期限切れになっています。
私個人の経験から言えるのは、入社して数年くらい勤めるだけなら、持っていてもそこまで有利になることはないと思います。
長く働きたい場合/独立・転職したい場合は有利になることも
ここまで就活でも(入社して数年の)現場でも、有利に感じたことはなかったとお伝えしました。とは言え、全く意味がないわけではありません。
もし「旅行会社で支店長クラスになりたい」「将来的には独立開業したい」と考えている人には、資格は取っておく必要があります。
さらには転職においても、以下のような場面では資格があることで、プラス評価になることもあります。
- 中途採用で実務経験者としての即戦力が求められる場合
- 小規模な旅行会社などで、すぐに管理者ポジションを任せたい場合
つまり、旅行業界で長く働きたい場合や独立開業したい場合、即戦力として転職したい場合は、取得しておくべき資格です。
自分が目指すべき道が決まっている場合は、早めに取得しておいて損はありません。
旅行業務取扱管理者は、旅行好きな人にこそおすすめ!


就職や現場では有利になったわけではありませんが、それでも私は「この資格を取って良かった」と感じています。なぜなら、旅行に対する知識が一気に深まったからです。
この資格の勉強をしたことで、旅行業務取扱管理者は、旅行好きな人にこそおすすめしたい資格だと感じています。
ここからは旅行業務取扱管理者が、旅行好きにとってどんな魅力があるのかをお話します。
旅行好きにとって役立つ知識がいっぱい&学ぶだけでも楽しい!
旅行業務取扱管理者と言うと、旅行会社に勤めている人たちの資格と思ってしまいがちですが、旅行好きにも役立つ知識がいっぱいあるんです。
科目によっては、学ぶだけでも楽しいものもありますよ。
旅行業法及びこれに基づく命令/旅行業約款、運送約款及び宿泊約款


これらの科目では、旅行業法(旅行会社のルール)、旅行業約款(契約の内容)などを学びます。
法律・規則系の科目なので、「旅行業界で勤めている人以外には関係ないのでは?」と思われるかもしれません。ですが、消費者にとって、知っておいて損になることはありません。
例えば・・・
ツアーやパッケージ旅行に申し込む時。申し込みの書類やパンフレットには、細かくて小さい字でたくさんの注意事項が書かれていますよね。
正直、ほとんどの人が読んでいないと思います。
でも、その小さな文字の中にこそ、キャンセル料の発生日や金額、旅行中止時の返金条件、責任の範囲など、旅行者にとって大切な情報が詰まっているのです。
旅行業法や約款の基本を知っているだけで、
- 台風でツアーが中止になったけど、キャンセル料は取られる?
- オプショナルツアー中の事故は、誰が責任を取る?
- 宿泊先が急に変更されたけど、補償はある?
こんな時に「何が正当で、何が不当なのか」を冷静に判断できるようになります。
- ツアーやパッケージ旅行に申し込む時、契約条件を正しく理解できる
- キャンセル料や補償のルールを知っておくと、不測の事態でも冷静に対応できる
・旅行業法及びこれに基づく命令
Q.報酬を得て、次の行為を事業として行う場合、旅行業の登録を要しないものを1つ選びなさい。(令和6年度国内旅行業務取扱管理者試験)
ア.旅行に関する相談に応ずる行為
イ.イベント事業者が、イベントの入場券と他人が経営する貸切バスによる空港と会場間の送迎サービスをセットにした商品を旅行者に販売する行為
ウ.タクシー会社が、自ら所有するタクシーを用いて市内観光を目的とする日帰り旅行を旅行者に販売する行為
エ.ハイヤー会社が、自ら所有するハイヤーを使用した送迎サービスと他人が経営する船舶会社のクルーズ船によるディナークルーズをセットにした旅行プランを旅行者に販売する行為
回答
ウ
・旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
Q.次の記述のうち、旅行者が旅行開始前に募集型企画旅行契約を解除するに当たって、取消料の支払いを要するものをすべて選びなさい。(いずれも取消料の支払いを要する期間内の解除とする。)(令和6年度総合旅行業務取扱管理者試験)
a. 契約書面に記載した本邦内の空港間における航空機が、旅行業者により直行便から乗継便に変更されたとき。
b. 旅行に同行する家族がインフルエンザに罹り、他の旅行者への感染を防ぐためやむを得ず旅行者及び同行家族が契約の解除を申し出たとき。
c. 旅行者が、同行することになっていた介助者の急病によって旅行に参加できなくなり、やむを得ず契約を解除するとき。
d. 旅行業者が旅行者に対し、契約書面に記載した期日までに、確定書面を交付しなかったとき。
回答
a. b. c.
国内旅行実務


この科目では国内運賃・料金、国内観光資源を学びます。
特に、観光資源の分野では
- 名所・旧跡
- 温泉地
- 国立・国定公園
- 山や湖、川などの自然
- 伝統行事やお祭り、特産品
を学ぶことができます。地理の勉強にもなりますが、「旅のネタ帳」を充実させていく感覚で楽しめます。
国内旅行実務の知識が「旅の引き出し」になり、旅の選択肢をより広げてくれます。
- 有名観光地だけでなく、各地の温泉や城、自然資源にも詳しくなる
- 地域の郷土料理や年中行事・祭りを知ることで、旅行の楽しみが何倍にも
- 最短ルートや乗り継ぎが分かり、旅行計画が格段に上手くなる
Q.旅客鉄道会社(JR)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(令和6年度国内旅行業務取扱管理者試験)
ア.7月31日に始発駅を出発する新幹線の普通車指定席券は、7月1日午前10時から発売される。
イ.東海道・山陽・九州・西九州新幹線の一部の列車について、タテ・ヨコ・高さの合計が160センチメートルを超え250センチメートル以内の物品(一部を除く。)を車内に持ち込む場合、特大荷物スペースとセットで発売する座席の指定券を当該列車に乗車する前に購入したときは、追加の料金は不要である。
ウ.新幹線の普通車指定席を利用する団体旅客が102人で構成される普通団体の場合、99人分の運賃と特急料金が収受される。
エ.特急券とグリーン券を1枚で発行した指定券を、列車出発前日に払い戻す場合の払いもどし手数料は、特急券の払いもどし手数料とグリーン券の払いもどし手数料の合計額である。
回答
エ
Q.次の設問について、該当する答を選択肢の中から選びなさい。(令和6年度国内旅行業務取扱管理者試験)
2023 年に国宝に指定され、熊本市内と高千穂峡を結ぶ観光ルート上にあるアーチ型の石づくりの水道橋で、橋の中央部から放水される様でも有名な橋を、1つ選びなさい。
ア.渡月橋 イ.錦帯橋 ウ.通潤橋 エ.眼鏡橋
回答
ウ
海外旅行実務(※総合の場合)


海外旅行実務では国際航空運賃、パスポートや税関、世界の観光地理など、海外旅行に必要な知識を勉強します。
こちらの科目は総合を受験する人のみ必要になります。一見すると専門的で難しそうですが、海外旅行によく行く人・好きな人には、実際の旅で直結して役立つ情報ばかりです。
国内旅行実務と同じく、世界各国の観光地理を学ぶことができます。「世界の旅マップ」が頭の中にできて、旅行の計画がより楽しくなります。
- 世界中の観光地を知ることができ、行きたい場所が増える
- パスポートや税関など出入国に関する知識を知ることで、安心して海外旅行ができる
- 航空運賃のルールが分かり、効率の良いルートを選べる力が付く
Q.日本人旅行者が個人的使用のため、帰国時に携帯して輸入する次の物品のうち、検疫を受けることが必要なもの又は持ち込みが禁止されているものをすべて選びなさい。(令和6年度総合旅行業務取扱管理者試験)
a. アメリカ合衆国で購入した冷凍のアラスカ産カズノコ(ニシンの卵巣を塩漬けにしたもの)
b. 中国で購入した乾燥したウーロン茶の茶葉
c. ドイツで購入した豚肉ソーセージの缶詰
回答
c.
Q.フランス パリに関する次の記述から、正しいものだけをすべて選んでいるものはどれか。(令和6年度総合旅行業務取扱管理者試験)
(ア) セーヌ川をはさみエッフェル塔と対峙するシャイヨー宮は、1937 年のパリ万博の展 示施設として建てられたもので、現在は博物館や劇場として利用されている。
(イ) 沿道にカフェ、レストランなどが建ち並ぶシャンゼリゼ通りは、パリの中心部に位置 し、コンコルド広場とバンドーム広場を結ぶマロニエ並木の大通りである。
(ウ) 芸術家たちが愛した風情が今も残るモンマルトルの丘には、ロマネスク様式とビザン チン様式が融合したサクレ クール寺院がある。
a. (ア) (イ) b. (ア) (ウ) c. (イ) (ウ) d. (ア) (イ) (ウ)
回答
b.
勉強した知識は「旅のプラン作り」にも大活躍!


ここまで紹介してきたように、旅行業務取扱管理者の試験勉強は、旅行好きにとって知っておいて損のない内容ばかりです。
そして実は、その知識を活かして、自分の旅のプランを立てることができるのも大きな魅力のひとつです。
試験勉強を通して、自然と以下のような力が身につきます。
- 地理:日本全国・世界各国の観光資源と位置関係
- 交通:鉄道・飛行機・バスなどの運賃や路線、移動効率
- 観光情報:有名観光地だけでなく、伝統行事や郷土料理まで
これらが身に付くことで・・・
- 旅行の計画が上手くなる
- 自分だけの旅を効率的にアレンジできる
- 自分の興味や好みに合った旅が作れる
ようになります。
実際、私も資格を取ってからというもの、行きたい場所が増えました。勉強を通じて、これまで知らなかった観光地や温泉、文化的スポットなどを知り、「行ってみたい!」という気持ちが自然と湧いてくるようになりました。
また、家族や友達と旅行に行く時にも「〇〇に行こうよ!そこの見どころはね・・・」と、自信を持って提案できるようになったのも良かった点です。
ただの知識ではなく、「旅を楽しむ力」として日常で活かせるのが、この資格の魅力です。
まとめ
私自身、資格を取って「人生が変わった!就職が有利になった!」というわけではなかったですが、旅行に対する視野が広がったのは確かです。
タイプ | おすすめ度 | 理由 |
---|---|---|
就職に活かしたい人 | 新卒採用にはあまり意味がない。中途・実務向け。 | |
旅行業界を目指す人 | 土台としてあると良いが、必須ではない。 | |
旅行が大好きな人 | 勉強がそのまま旅行に活きて楽しい! |
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旅行業界で働いている人/目指している人以外にも、旅行が好きな人にとってはプライベートで活かせる資格なんだね!



「学んだ知識を活かして、自分だけの旅を作り上げる」ことは、旅好きにとって何よりの喜びだと思います。
「旅行をもっと楽しみたい」「観光地の知識を深めたい」そんな方には、ぜひチャレンジしてみてほしい資格です。

